【イスラム教】日本人がムスリムになる(イスラム教に改宗する)とどう生活が変わるのか

イスラム

はじめに

日本で生まれ、日本で育ち、日本で仕事をしている方にとって、ムスリムになるきっかけが訪れることはほとんど無いと思います。

筆者自身も普通に日本で生まれ育って日本で仕事をしている純正の日本人ですが、パキスタン人女性との結婚を機に、数年前にムスリムになりました

この記事を読まれている方の中にも、何かしらのきっかけでムスリムになろうか悩んでいる or 純粋にムスリムに興味を持っている方がいらっしゃるのではないかと思います。

そこで、本記事では筆者の実体験を踏まえ、日本人がムスリムになると生活がどのように変わるか、ポイントをまとめることにしました。

あくまで筆者の体験に基づいた個人的な見解なので、もし同意できない部分があってもご容赦いただけますと幸いです。

ムスリムになる方法

まずムスリムになる方法ですが、以下の3ステップのみで非常にシンプルです。

  1. イスラーム教の教えを勉強し、信仰する決意を固める
  2. シャハーダ(信仰告白)を唱える
  3. イスラーム教の教えに従って生活する

以下、順番に見ていきましょう。

1. イスラーム教の教えを勉強し、信仰する決意を固める

当たり前ですが、改宗するにあたって、まずはイスラーム教の教えを勉強しましょう。

ここでは詳細を省きますが、イスラーム教における最も基本的な教えの中には、「信仰の5つの柱」「6つの信仰箇条」 等があります。

最低でもこれらを把握した上で、その他コーランに書かれている細かい教えを可能な限り理解する様にします。

モスク(キリスト教で言う協会)によっては、定期的に勉強会を開いているので是非参加してみてください。

ここでイスラーム教の教えに共感することができれば、次のステップです。

2. シャハーダ(信仰告白)を唱える

シャハーダはアラビア語で唱えられることが多く、カタカナにすると「アシュハド アッラー イラーハ イッラッラーフ ワ アシュハド アンナ ムハンマダン ラスールッラー」、日本語に訳すと「アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒です」になります。

これをアラビア語でスムーズに唱えるのはかなり難易度が高い(笑)ですが、ゆっくりで良いのでぜひチャレンジしてみてください!

また、意外かもしれませんが、シャハーダを唱える場所はどこでもOKで、1人でも誰かと一緒にいても変わらず正式なムスリムになることができます。

どこで誰と何語でシャハーダを唱えても、アッラー(神)が聞いているという前提があるためです。

もし1人で唱える場合は、証人がいるわけではないので、自身がムスリムであることを自己申告することになります。

但し、多くの方にとっては、何かしら正式な儀式を行いたいのではないでしょうか?

実際、ほとんどの方は、モスクに行き⇒イマームの前でシャハーダを唱え⇒他のムスリムに「おめでとう」と祝福してもらいながら改宗する流れになっています。

  • イマーム: 「指導者」という意味で、キリスト教でいう神父さん

筆者の場合は、東京都の代々木上原にある東京ジャーミーというモスクで改宗しました。

イマームの他にも、たまたまそこに居合わせた10名くらいのムスリムが、筆者の改宗儀式に証人として参加してくださいました。

また、儀式が終わった後には証明書のようなものを発行し、「ムハンマド」という宗教名を命名いただきました。

やはり、1人で密室でシャハーダを唱えるよりも、このようにモスクで儀式を行った方が気持ちの整理がつきやすいため、お勧めです。

3. イスラーム教の教えに従って生活する

最後、ムスリムになる覚悟を決めた以上は、できるだけムスリムの教えに従って生活する努力をします。

偉そうに言っている筆者も、この点はまだまだで、改善の余地があることを認識しています…

次の章で詳しく見ていきましょう。

生活の変化

まず前提として、ムスリムの中でも、信仰度合いが千差万別であるというのが実態です。

「全ての教えを守る」という方もいれば、「この点は守るけどこの点は守らない」や「もう全然守らない」という方もいて、生活の過ごし方が大きく異なります。

そこで、本記事では、ムスリムになることで起こりうる生活の変化「7選」に加えて、どれくらいの割合(%)のムスリムがそれぞれの点を順守しているかについても、筆者の感覚値を併記しておこうと思います。

  1. お酒を飲めなくなる: 95%
  2. 豚肉(ポークエキス 等の豚製品含む)を食べられなくなる: 95%
  3. ラマダン月に断食することになる: 60%(休み休み断食する方を含む)
  4. 豚肉以外のハラーム食品を食べられなくなる: 40%
  5. 牛肉/鶏肉はハラール認証のもののみしか食べられなくなる: 20%
  6. サラー(1日5回の礼拝)を行うことになる: 10%
  7. ハッジ(マッカ巡礼)を行うことになる: 不明

以下、順に見ていきます。

1. お酒を飲めなくなる: 95%

これは良く知られていることですが、イスラーム教ではアルコールがハラーム(禁忌事項)に指定されています。

この点、9割以上の方が順守している印象です。

但し、「後でいっぱいお祈りするから大丈夫!」と言ってアルコールをガバガバ飲むムスリムにも会ったことがあります 笑

繰り返しになりますが、このように、ムスリムの中でも人によって信仰度合いが全く異なります。

筆者の場合は、改宗後から一切アルコールを飲んでおらず、幸い元々お酒が好きではなかったこともあって、特に苦労はしていません。

但し、仕事の関係で食事会に参加することが多く、毎回「お酒が飲めない」と説明しなければならないことや、お客さんからのお酒のオファーを断られなければなりません

認識の範囲内では、これにより仕事に大きな影響があったことはないですが、毎回説明しなければならないのは正直面倒だし不便に感じています。

ムスリムになる場合は、この点を覚悟しておきましょう。

2. 豚肉を食べられなくなる: 95%

牛肉や鶏肉は問題ありませんが、豚肉はハラームです。

この点も、9割以上のムスリムが順守している印象です。

豚肉が入っている食べ物を選んで食べなければよいだけではありますが、日本に住むムスリムにとっては中々面倒な問題です。

というのも、ムスリムがスーパーで買い物をする際は各商品の成分表示を確認しなければならないし、レストランで新メニューを注文する際は店員さんに「豚肉 or 豚製品」が入っていないか聞く必要があるためです。

筆者の妻の出身国であるパキスタンのような国であれば、ムスリムがマジョリティーのため、そもそも豚肉 or 豚製品が売られておらず、スーパーでもレストランでもストレスフリーです。

一方で、ムスリムになって初めて気が付くかもしれませんが、日本では驚くほど多くの食材で、何かしらの豚製品(ポークエキスや豚由来のゼラチン含む)が使われています。

筆者の大好きなラーメンも例外ではなく、醤油味でも塩味でも、ほとんどのラーメンにポークエキスが入っており食べることができません…(ハラールラーメンを除く)

ムスリムになるなら、外食のハードルが相応に上がることを覚悟しましょう。

因みに、豚肉 or 豚製品さえ入っていなければ、同じ工場/製造ラインで豚肉を使っているような食材(いわゆる「コンタミ」)であっても、ほとんどのムスリムが気にしていない認識です。

3. ラマダン月に断食することになる: 60%

ラマダン月に指定された期間(およそ1か月)は、日が出ている時間帯に断食(食べ物だけでなく、水を含む)することが定められています。

これは6割程度のムスリムが実施している認識です。

但し、「旅行中や具合の悪い場合は休んでも良い」というルールがあるため、ほとんどの方が様々な理由で休み休み断食を行っているのが実態です。

一方で、極端な例では、ラマダン期間中に自分の唾さえも飲まないよう、バケツに唾を吐き続ける方がいらっしゃると耳にしたことがあります…

繰り返しですが順守度合いは人それぞれですね。

4. その他のハラーム食品を食べなられなくなる: 40%

この点はかなり「マイルール(my rule)」が分かれると思います。

この背景には、ムスリム全員が全てのハラーム食品を把握している訳ではないこと、宗派/法学派によってハラームの指定食品が変わること、及び、コーラン(聖典)では想定されていないような食品についてはハラームか否かの解釈が分かれることがあると思います。

例えば、タコ/イカ/うなぎ 等の「鱗がない」魚について、一部の宗派/法学派ではハラームだが、別の宗派/法学派では食べても問題ないと解釈されている模様です。

因みに、筆者はタコ/イカ/うなぎを気にせず食べています。

また、パキスタン人に筆者が「日本で馬肉を食べた」話をしたところ、「ハラームだ」という人と「ハラームではない」という人で論争が勃発した経験もあります。

5. 肉はハラール認証のもののみを食べることになる: 20%

問答無用で「ハラーム」とされる豚肉とは異なり、牛肉や鶏肉にはハラール認証されているものとされていないものがあり、本来はハラール認証されたものだけを食べるようにします。

  • ハラール: ハラームと対になる言葉。イスラーム教で合法とされるモノ/コトのこと

但し、筆者の感覚ではあまり多くのムスリムがこの点を順守していないように感じます。

理由は以下2点です。

  1. 面倒さ
    • 日本で普通にスーパーで売られていたり、レストランで出されたりする肉は、ほぼ確実にハラール認証されていません
    • ハラール認証の牛肉/鶏肉を食べるためには、ハラールショップ(ハラール食を扱う専門スーパー)や一部の特化レストランに行く必要があり手間がかかります
  2. コスパ
    • ハラール認証された肉は、基本的に海外から輸入された冷凍肉です
    • 鮮度や味が落ちるだけでなく、輸入代金がかかるため若干割高になる傾向があります

とはいえ、ムスリムになると、牛肉や鶏肉であってもハラール認証のもののみしか食べるべきでない状態になり、生活の中で選択肢が狭まり手間が増えることになる点、ご留意ください。

6. サラー(1日5回の礼拝)を行うことになる: 10%

毎日1日5回礼拝を行っている日本人のムスリムは、少なくとも筆者の周りにはいません。

話で聞くだけなので、恐らく10%程度しか該当しないのではないかと思います。

この背景には、実施ハードルの高さが挙げられると思います。

1日5回の礼拝を行うためには、勤務中でも勉強中でも何かしら作業中であっても、お祈りのため最低10分程度は作業を中断しなければなりません

特に社会人にとっては、礼拝の時間に会議や作業を入れないよう時間を融通してもらったり、礼拝ができるように会議室を借りたりしなければならなくなり、よほど宗教に理解がある会社でなければ実施が難しいと思います。

筆者にはマレーシアで働くムスリムの友人がいますが、彼女に聞いたところ、マレーシアではオフィスに礼拝室があり、勤務中でも礼拝することが当たり前になっていると聞きました。

このように、ムスリムがマジョリティの国で、周囲からも礼拝に対する理解があれば別ですが、こと日本では実施ハードルが相当高いものであると言って差し支えないと思います。

7. ハッジ(マッカ巡礼)を行うことになる: 不明

健康なムスリムは、一生に一度、サウジアラビアにあるマッカへ巡礼の旅に行くことが定められています。

筆者の周りでは、マッカに行った方が今のところいないため、どれほどのムスリムがハッジを行っているか不明です。

因みに、筆者も将来的にはハッジを行う予定です。

マッカには世界中からムスリムが集まるため、マッカがあるサウジアラビアにとっては良いビジネスで、ハッジ自体が観光業化/商品化してしまっているとの批判を聞いたことがあります。

この点含め、本当のところがどうなっているか、実際に行って確かめてきたいと考えています。

まとめ

本記事では、日本人がムスリムになると、どのように生活が変わるかについて見てきました。

イスラーム教の教えをどこまで守るかは本当に人それぞれですが、少なくともお酒や豚肉が食べられなくなる 等、これまでと全く変わらない生活を送れるとは思わない方が良さそうです。

もしイスラム教改宗やムスリムについてもっと知りたいことがあれば、別の記事を作成するので、コメントでお知らせください。

記事を読み終わりどのような心境でしょうか?

もし記事を読む前と覚悟が変わらないのであれば、筆者はあなたがムスリムになることを心から応援しています!

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